もう文字で、モジモジしない!Vol.032023.9.4

文字・フォントの基本
第3回 欧文フォント その2

この記事は
■Monotype Imaging Holdings Inc.とは?
■Monotypeの定番フォント

が書いてあります。

こんにちは!thinc Partner編集部です。

フォントの基礎知識をお届けする「もう文字で、モジモジしない!」、
皆様にご好評をいただき、お役立ていただけたこと、嬉しく思います。

3回目の連載となる本記事では、米Monotype社の下記ニュースを受けて、
定番フォントについてお届けいたします。

2023年7月、フォントワークスが提携先である米Monotypeの傘下になるニュースが発表されました。このことにより、定額制フォントサービスLETS(Leading Edge Type Solution)などのサービスを介して、Monotypeのフォントがより幅広く活用されることが期待されます。

1.Monotype Imaging Holdings Inc.とは?

1887年創業。米国に本社を置く世界最大級のフォントメーカーです。デザインリソース、フォントテクノロジー、専門ノウハウを活用し、ブランドの美しさや信頼性、インパクトを創造するサービスを提供しています。Helvetica、Frutigerなどの有名書体を所有。また、グラフィックデザイナーであれば誰もが知っているTimes New Romanを開発した会社でもあります。筆者のイメージとしては、グラフィックデザインよりも、OSなどに導入されるシステムフォントやプロダクト、建築などのサインなど、UIとして使われる印象があります。特に有名なのはMicrosoftです。OSのフォントにはMonotypeのフォントが使用されていました。「もう文字で、モジモジしない!Vol.01」のブログでもご紹介したLinotypeも同社の傘下になります。

また、デザインされた英文フォントの販売で有名な「My Fonts」も傘下にあり、個性的なデザインがされたフォントを購入することができます。パッケージなどのデザインをする際はぜひ検討してみてはいかがでしょうか?

2.Monotype社の定番フォント

Times New Roman

おそらく世界で最も汎用性の高い本文書体です。小さいサイズでも読みやすいセリフ体が特徴です。かつてイギリスの新聞、タイムズ紙に使用されていたことが名前の由来です。こうした定番フォントの人気が未だに衰えない理由として、アルファベットの歴史が関係していると思われます。彫刻から手書き、そして活版印刷など、文字の歴史の変遷の中で、アルファベット26文字がデザインとして磨かれてきました。Times New Romanは、コンピュータ技術の普及などによってデジタル版がリリースされるなどその後も進化を続けていきますが、1930年頃にはデザインがほぼ完成していたと言っても過言ではありません。

また、広く使われるもう一つの理由として、文字や記号が多く実装されている点があげられます。ラテン文字だけではなく、キリル文字や記号類も充実しており、利便性に優れています。

Times RomanとTimes New Romanというフォントがありますが、大きな違いはイタリック体です。特に小文字のZを比べると、違いがわかるでしょう。

※Monotype社およびLinotype社がフォントの一般販売権を持ち、Monotype社が販売するフォントは「Times New Roman」、Linotype社が販売するフォントは「Times Roman」と呼ばれるようになりました。

Gotham

オバマ大統領のキャンペーン「YES WE CAN」で有名なフォントです。力強く、パワフルなイメージがあります。シンプルなデザインのフォントは、ロゴのベースとして使用されることも多く、タイポグラフィだけで訴求するようなデザインにも適しています。

Gill Sans

サンセリフ体でありながら、高級感と優雅さを持ったフォントです。20世紀を代表するイギリスの彫刻家エリック・ギルがデザインしたサンセリフ書体です。イギリスでデザインされた書体なので、ヨーロッパの雰囲気を醸し出しやすい書体です。 詳しくは触れませんが、デザインした人物の歴史的背景には議論を呼ぶような出来事もあるため、素敵な書体ではあるものの、彼の人物像や行動に関する疑問や批判も存在するため、近年では敬遠されることもあるようです。デザイナーはデザインの外観だけでなく、こうした背景や歴史も考慮してフォントを選ぶことも重要です。

Arial

OSやソフトウェアに搭載されるシステムフォントの代表格です。Helveticaと似ているため、注意が必要です。デジタルでも読みやすく、可読性が高く、連続した文章に適している特徴を兼ね備えています。

Bembo

金属活字として生み出された歴史ある書体です。デジタル版のBembo Bookもリリースされています。本文書体として非常に読みやすくデザインされています。

Caslon

かつては「迷ったらCaslonで組め」と言われたほど応用範囲が広いフォントです。イギリスで生まれたフォントですので、ヨーロッパの雰囲気が感じられると思います。「Caslon 540」というフォントがありますが、見出しなど大きめの文字に向いています。

Bodoni

イタリアの活字製造者、ジャンバティスタ・ボドニによって創造されたフォントです。太い部分と細い部分のバランスが見事に取れた美しい書体だと思います。

Garamond

16世紀にフランスの活字彫刻師(クロード・ギャラモン)によってデザインされた書体に由来します。多くのデザイナーによってリバイバルされ、“Garamond”が名前に含まれる書体は多数存在します。

ギャラモンが亡くなった後、ジャン・ジャノンが制作した書体がフランスで初めてとされる書体見本帳となったことで「ジャン・ジャノンが制作した書体=ギャラモン」だという誤解が生じました。これにより、今ではオリジナルの書体の流れを汲む「ギャラモン系」と「ジャノン系」、2つのギャラモンが存在します。

Palatino

ファッション誌などでよく使用される、非常に美しい書体です。デザイナーのヘルマン・ツァップ氏は、多くの書体を世に生み出し2015年に97歳で亡くなりました。ツァップ氏のデザインした書体にはALDUSやOPTIMAなどがあり、どれも美しく上質な印象を与える書体です。

ここまで、読んでいただきありがとうございました。

広告や販促、エディトリアル、Web、プロダクト。どれを選んでも文字のないデザインは存在しないと思います。フォントはデザイナーにとって基本中の基本です。歴史や背景を理解することで、どのように使えば良いかやどのフォントを選ぶべきかを適切に判断することができるでしょう。自分のデザインを実現する手助けになれば幸いです。

参考文献
「欧文書体」 小林 章 著 美術出版社
「欧文書体2」小林 章 著 美術出版社
Entry

Entryパートナー登録

あらゆるクリエイターの
皆様からの
エントリーを
受け付けております。

クリエイターズマッチのパートナーは、
おもにナショナルクライアントの仕事を
主として行っていただくため
どなたでもなれるわけではありません。
ポートフォリオの確認後、対面でスキルセットを
確認させていただき
独自の合否基準をもとに
判断させていただきます。

また、デザイナーの経験年数が少ない方や副業などで
時間を有効活用して仕事をされたい方向けには、
ディスプレイ広告クリエイターエントリー試験を
ご用意しております。
そこでは、スキルチェックとトライアルワーク試験を
受けていただき
合否を判断させていただきます。

合格率は現在3%となっております。※2022年10月現在