この記事は
■フリーランスデザイナーとしての働き方
■法人化するという働き方
が書いてあります。
こんにちは!thinc Partner編集部です。
thinc Partnerでは、パートナークリエイターのコミュニケーションと学びの場としてPartner’s Fileを開催しております。
今回は、3回目の開催となったPartner’s Fileについてお届けします!
1.Partner’s Fileについて
Vol.03では、「法人化」というトークテーマを設け、登壇者同士のトークセッションを行いました。
お招きしたのは、
株式会社、合同会社、NPO法人の起業経験をお持ちの石原佑さん。
また、フリーランスデザイナーであり、ママ向けのコミュニティの運営などでも活躍をされている
渡邉綾佳さんのお二人です!
すでに法人化されている方はもちろん、法人化を検討している方もそうでない方も
クリエイター同士の繋がりを感じていただき、新たな気づきに出会える100分間です。
2.Partner’s File005 石原佑さん
東京造形大学卒業後、デザイン会社、北米にて雑誌のアートディレクターを経て、2018年より故郷の徳島県にてデザイン会社BLUEを創業。その後、地元小松島を芸術家が定住しやすい街にするべく、NPO法人Arts Shikokuを設立。現在、徳島大学にてアントレプレナーシップ教育の教員として、徳島発の新産業創出にも本格的に取り組んでいらっしゃいます。デザイン振興についても勢力的に活動し、国内外で作品発表も行っています。
今後の展望は「大学のディープテックをデザインの力で社会実装する」こと。
いずれはスタートアップもやってみたいという想いがあり、大学で眠っている研究、技術を社会に適応させることに挑戦してみたいというビジョンをお持ちです。
3.Partner’s File006 渡邉綾佳さん
大学卒業後、インフラ系エンジニアとして従事。長男の出産を機に「好きなことを仕事にしたい」と考えるようになり、デザインスクールに通い、2017年よりバナー制作からデザインの仕事を開始。Web広告の他、ロゴやグッズ制作、DTP、ECサイトの運用、カメラマンなどもご経験されています。
現在は、在宅でデザインのお仕事をしながら、「ママが、家族との時間を大切にしながら自分の人生をとことん楽しむ!」というコンセプトのもと、ママのために必要な考え方やスキルを学ぶ事ができるコミュニティ、“ままくり”を主催されています。
4.法人化について
「『法人化』は、自分には関係の無い話だと思っていた」という渡邉さん。
そもそも「法人」って何なのでしょうか・・?
大学で起業についての講義をご担当されている石原さんに「法人」についてお話を伺ってみました。
◆法人とは?
「法人」とは、法的につくられた一つの人格であり、
「法人」と「個人」の異なる点として、「責任の所在」が挙げられます。
「個人」は「無限責任」なのに対し、「法人」は「有限責任」という点です。
例えば、香辛料を取りに船を出すため、多くの人々から資金を集め、航海に出るとします。ですが、航海の途中で災害にあったり、海賊が出たりなど、うまく行かない事もあります。無事に帰ることが出来れば、富が増え、出資者へお金を返すことができますが、無事に帰ってくることができなかった場合、リスクはどこに行くのでしょうか。
個人で借金をすれば、責任は全て個人にあります。
法人であれば、「500万円の出資をしたら、500万円分のリスクを背負う」。つまり、出資した分のリスクを出資した人が背負うことになります。株式会社の経営者で、会社が倒産したからといって、経営者が全借金を背負うということはありません。もちろん、小さい会社だったりすると、経営者が連帯保証人になるパターンもありますが、基本的に、会社と個人は切り離された存在です。
ここまでの流れを聞いて、渡邉さんからは「個人でいることが怖くなったりしますが・・」なんてコメントもありましたが、決して臆することはなく、ただ、「不利な契約」や「危険な人からお金を借りる」といったことがないよう、ある程度は自分で判断することは必要とのこと。
◆法人の種類について
法人には大きく「営利法人」「非営利法人」の2つがあります。
会社が儲かれば、株主に利益を配当するというのが営利法人です。
営利法人には株式会社や合同会社などがあり、より大きなビジョンを成し遂げたい方、このまま事業を拡大していきたいといった方におすすめです。
それと反対に、会社が利益を出しても、次の年度に自分たちの活動費用に繰り越すというのが、非営利法人です。一般社団法人やNPO法人があり、公共性が高い事業を行いたい方におすすめ。
起業する際の手続きにも違いがあります。
◆法人化をするタイミングは?
法人化するタイミングについては、「税金対策として1,000万円を超えたら法人化する」というお話はよく聞きます。もちろんそのタイミングも間違いではないのですが、石原さんは「やりたい事業、ビジョンがあり、2〜3年後の収支計画がある状態というのは一番健全な起業パターン」とコメント。
他にも「行政と仕事したい」とか「不信な会社や人物をリムーブしたい」という考えが法人化のきっかけにもなるようです。一番大事なことは、「ビジョンを明確にする」ということ。
ちなみに、合同会社はそれほどお金もかからず、割とおすすめなのだとか。
◆それぞれのメリット/デメリット
最後に、「法人」と「個人」のそれぞれの「メリット/デメリット」について、当日お話に挙がった内容を簡単にピックアップしております。ぜひご参考までに!
◎「個人」のメリット
・働いた分だけ、自分の稼ぎになる
・しがらみがなくフットワークが軽い
・個人の裁量でできるので、好きな時間に活動できる
・クオリティの追求ができる(※際限なく仕事をしてしまうことはデメリットともとれる)
◎「個人」のデメリット
・自分の時間=無料という感覚(際限なく仕事ができてしまう)
・評価する人はクライアントしかいない(やる気がなくなったらクオリティも落ちていく)
・労働が属人的
・実績がないと、「上手い・早い・安い」のスパイラルに陥りがち
◎「法人」のメリット
・組織として動くことで、より大きなことができる
・信頼度が上がる。(行政の案件など、法人でないとプロポーザルに参加できないことも多い)
・責任の範囲が限定される
・見積もり金額の提示額(法人価格で、若干提示額を上げることもよくある)
◎「法人」のデメリット
・個人から法人化した場合に発生する説明責任
(人が増えれば、案件対応者が代わることもあり、クライアントが離れてしまうこともある)
・得た対価は会社のものになる。(一人の稼ぎ頭で成り立っている企業もたくさんある)
5.Partner’s File を終えて
「法人化」というトークテーマのもと、リアルな法人化事情や、新たな可能性を感じることができたのではないでしょうか。
ご参加いただいた方からも、
「自分には関係のないことだと思っていたが、身近な事として感じられました」
「“責任”について法人と個人で色々と違いがあり、逆だと思っていたこともあったので、考え方が変わった」
などとコメントをいただきました!
Partner’s Fileは、今後も定期的な開催を予定しております。
ぜひ、ご参加をお待ちしております!
今回の記事は以上になります!
ありがとうございました!!
thinc Partner 編集部